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90年の時を越えた感情


先日、愛知県のいとこから祖父の形見が送られてきました。大きくて重い革のスーツケース。宮沢賢治の写真とか、ハリーポッターの映画に出てきそうな代物です。祖父は私の父が10歳の時に亡くなっているので、私はおろか、父もロクに覚えていませんでした。形見といってもあまり実感はありませんでした。

この祖父は、日産自動車や日立金属のルーツである戸畑鋳物社の安治川鉄工所の所長として、東洋一の貨車の設計をしたり三重県の軽便鉄道敷設に貢献したりしていました(三重県に石碑があります)。1935年に亡くなるまで、このスーツケースを持って欧米の工業地域を視察のために飛び回っていたのです。

私が学生時代にイギリスのバーミンガムに研修に行った際、祖母から「おじいいちゃんがそこに行ったときに買ってきた絵ハガキだよ」と言ってレトロなカードが送られてきました。後にアメリカのデトロイトに駐在した時も、同じ言葉と共に古き栄光の時代のデトロイトのカードが送られてきました。「このじいちゃん、本当に戦前から世界中を飛び回っていたんだなあ」と驚いたものです。

取りあえず居間の片隅にこのスーツケースを置いてみると、なんとも言えない存在感。試しに持ち上げてみたり、これを持って船に乗る自分を想像したりしていると、なんだか変な気がしてきました。実に90年の時を越えて、話にしか聞いていなかった「偉大なじいちゃん」の感情が迫ってくるのです。未知の海外に出ていく不安、憧れ、工場の未来に向けた高揚感、そして45歳の若さでこの世を去る無念さ。

もう一度、床に置いて眺めると、今度は自分の感情がこみ上げてきます。恥ずかしい。大きな魂を前にして、小さな自分が恥ずかしい。


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