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2014-02

勇気の科学


 私の友人でもあるロバート・ディナーさんの本です。彼とは昨年、丸1日一緒に過ごし、靖国神社や渋谷のホテル街など、「裏東京見物」を楽しみました。次回は秋葉原でメイド喫茶にでも行ってみようか、などと言っていますが、私も言ったことがないので案内できるかどうかは分かりませんが。。
 ロバートは、話していて実に面白い人で、「ポジティブ教」のような自己啓発になり下がっている一部のポジティブ心理学研究者そしてそこに群がるポジティブ心理学業界について率直で辛辣な意見を交わし、とても盛り上がりました。そこで分かったのは、彼はポジティブ心理学をブームにしてひと儲けしてやろう、などと考えるタイプの研究者ではなく、あくまで学者として本質を追い求める人である、ということでした。
 そして本書のテーマは少し地味な「勇気」。業界的には「ポジティブになる勇気」みたいなタイトルにしがちですが、ロバートとはそんな茶番はしたくないのでしょう。本書の中にもポジティブ心理学という言葉はほとんど出ていませんし、彼らしいシニカルな表現もいくつか見受けられます。
 この本を読んで改めて彼の研究にたいする真摯な姿勢が理解できます。期待以上によい内容でした。

 本書の内容で特に大切だと思ったのは以下のようなポイントです。
・勇敢な行動をとる理由には文化的な違いがある。
・尊厳の文化
・名誉の文化
・面子の文化(日本、韓国)
・「潜在的な自己中心性」によって人は、自分のように他の人も考える、自分のことを人は注目している、などと考えることがある。その結果人は自然に振舞えなくなる。
・一方、自己中心性には、自分のことが気になることによって自己保存の感覚を高め、危険を避けて、確実で保守的なアプローチをとる、そしてそれが自分の自信の源となり未知のものに対処出来るという信念の基盤になる、といったメリットもある。
・行動をとらないことによる損失に目を向けることは恐怖を抑え、自分を行動に向かわせる効果がある。
・怒りを感じる人は、恐れを感じる人より、多くのリスクを取ることを望み、結果に対して楽観的で、自分で状況をコントロールできると感じる傾向にある。
・勇気の傷害となる3要因
1) ある状況下で行動の方法を誤って予測する傾向
2) 周囲に順応しようとする傾向
3) 傍観者効果
・孤独な人生を歩むだろうと言われた人は、思考能力を低下させ、質問に集中できなくなった。
・没個性化の状態にある人は、集団行動にのめり込むことで個人としての抑制を失いやすくなり、一人では行わないような犯罪に加わることもある。
・メタ認知(考えることについて考えること)によって意志力が高まる。
・他人を助けようという決断をするまでの5段階
1) 出来事を認識する
2) 緊急事態であることを理解する
3) 自分に問題に対処する責任があると感じる
4) 問題に対処するための方法が分かる
5) 行動を決断する
・勇気ある行動を取るためには、毅然として集団に抵抗すべきときもある。
・失敗をあってはならないことと考えるのは、「老いることへの抵抗」と同じく、負けることが保証された戦いである。
・「防衛的悲観主義」は、事前に失敗を予測することによって、実際に失敗したときのショックをやわらげ、見込みを低くしておくことで、成功したときに大きな喜びを手に入れようとする。
・不安や恐怖を防ぐことに注目した思考を「防衛型思考(予防焦点)」、進歩や成功、達成に注目するのが「獲得型思考(促進焦点)」と呼ぶ。
・獲得型のグループの方がパフォーマンスが高い。彼らは、勇敢な行動で得られるものを想像する。
・「諦めることは人間の強さである」(チャールズ・カーバー)
・「努力を諦める」のではなく「目標を諦める」ことによって行動意思を高めることは可能。
・別の方法で価値を満たそうとすることによって、それまでの目標を諦めることによる精神的な打撃を和らげ、新たな目標に向って前に進む勇気を得る。
・「ミスをしてはいけない」「ミスはしても許される」と考えたチームよりも「意図的にミスをし、そのミスを活かさなくてはいけない」という条件付けをされたチームのほうがパフォーマンスが高かった。
・勇敢な行動をとるまでの4つのステップ
1) 恐怖や不快さを体験する
2) 否定的な感情があっても、行動は選択できることを理解する
3) 自信を持つ
4) 行動を決断する

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