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日本中枢の崩壊


 2011年5月18日、スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)は2011年度の報告書「世界競争力ランキング」を発表しました。香港が政府機能と企業機能で高く評価され、59カ国中米国と同列1位。中国本土は19位でした。
 2010年のランキングでは香港は2位、米国は3位だったのですが、今回は両国とも順位を上げました。1位だったシンガポールは3位に転落。台湾は中国との両岸経済協力枠組協議(ECFA)締結が多くの面でプラスに働き6位に浮上しました。中国本土は18位から19位に転落したものの、経済力が高く評価されました。韓国は22位、日本は26位。
 日本は本調査が始まった1990年~93年は1位を誇っていたものの、最近では低ランクが定着しています。
 これを企業分野と政府分野に分けると、政府分野はもはや最下位レベルになります。日本の政府の国際的信用は最低レベルということです。しかしこれは震災前の分析となりますので、震災で落とした政府の信用力は考慮されていません。
 ランキングの上位10位は以下のとおり。(カッコ内は昨年の順位)

1.香港(2)
1.米国(3)
3.シンガポール(1)
4.スウェーデン(6)
5.スイス(4)
6.台湾(8)
7.カナダ(7)
8.カタール(15)
9.オーストラリア(5)
10.ドイツ(16)

 日本の政府がダメなのはもう世界的な常識となっているわけですね。一体何が日本の政府をここまで機能不全にしてしまったのでしょうか?
 その答えの一つが日本の官僚、公務員制度にあるようです。そんな流れで、「日本中枢の崩壊」を読みました。私も官僚主義とは組織のパフォーマンスの足を引っ張るものとして敵視し続けてきましたが、本書を読むとそんな生易しいものではなさそうですね。国を滅ぼしかねないほど邪悪な存在だとも言えそうです。自民党が諸悪の根源だとか、民主党はやっぱり何も出来ない、とか色々言われますが、政党が変わっても結局この役人たちの世界が変わらない限り日本は変わらないのでしょう。
 本書に書かれていることをいくつか紹介します。

・ある日本のメーカーがリーマンショック、ユーロ安で輸出価格を値上げしなければならなくなり、恐る恐る交渉したところ「こんな状況で値上げしない方がおかしい」と快諾された。いままで安すぎると思われていたのだ。それまで常に「安く、安く」を考えていたので、経営陣もこれには驚いた。こんなエピソードに対し、著者は言います。「自分の技術、製品の競争力を利益につなげる経営能力がいかに重要かということだ。現在の中小企業政策の過ちは、経営能力を見ずして技術最優先で企業を選別し、救いの手を差し伸べる点にある。中央の役人は技術、技術というけれど、いくら卓抜な技術があっても、経営力が乏しければ宝の持ち腐れになる。経営能力に欠ける企業は、そのままでは、いくら資金面の支援をしたところで、やがて立ち行かなくなる。」

 ・「現在の官僚に決定的にかけているのが『感性』である。霞が関にいても、耳を澄まし、目を凝らせば、地方の企業がいま置かれている現実に気付く機会はいくらでもある。しかし、霞が関の官僚の多くは、目は曇り、耳は遠くなっている。聞こえてくるのは、政府に頼って生き長らえようとするダメ企業が集まった団体の長老幹部の声や、政治家の後援者のゆがんだ要請ばかりだ。」

 ・「霞が関だけは過去の遺物ともいえる年功序列と身分制度をいまだに絶対的な規範にしている。国民に対して、結果を出せなければ責任を取るべきなのに、悪事を働かない限り降格もない。年金がなくなっても、歴代の社会保険庁の長官は、いまだに天下りや渡りで生活を保障されている。
・実績は関係ないのだから、国民のために働こうという意欲はどんどん失せていく。」

・「官僚の仕事はもともと成果がはかりにくい。年功序列なので、余計に成果は評価の基準にはならない。霞が関の役所の評価基準は大きく分けると二つしかない。
 一つは労働時間、もう一つは先輩、そして自分の役所への忠誠心だ。霞が関では、仕事を効率的にやるという努力は無駄に終わる。だらだらとでもいいから、なるべく長く仕事をしたほうが勝ちだ」

・「霞が関は不夜城と言われているが、実際は夜の7時から9時まで多くの幹部が席を外している。外部との打ち合わせと称して、酒を飲んでいるのだ。上司から、お前も来いと言われれば、若手もついていくしかない」

 ・「東日本大震災で、さらに日本は追いつめられた。これ以上の危機はない。逆にいえば、これだけの聞きに直面すれば、これ以上政治家が自らの利益を優先することはないのではないか-そう期待したい。
 しかし、公務員給与を恒久的に10%カットする方向が打ち出されたが、議員歳費のカットはわずか半年間だけだ。(30%、つまり年15%のみ)」

・ある中国人経営者が言った。「日本人は中国人に勝てない。なぜなら、日本では管理職や経営者までが汗を流すこと、会社に拘束されることが美徳だと思っているからだ。いかに頭を使うか、いかに人を違うやり方を考えるか。いかに効率的に答えを見つけるか、いかにスピーディに決断し行動するのか。それが経営者の競争だ」

 この著者、現役の経産省官僚です。昨年、国会で天下りについての証言をして、仙石由人に恫喝されたあの人です。実際あの後すっかりホされてしまったようですが、公務員制度を改革するためには命でも賭けるつもりなのでしょう。本当に身体を張った人の文章は痛快で面白いです。是非ご一読を。

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