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裁かれる三菱自動車


 本書はいわゆる三菱自動車のリコール隠し事件で、日本では珍しい「制裁的慰謝料」の鑑定書が裁判所に提出されるまでのストーリーです。その後の最高裁の結果は本書の出版以後に行われていますが、結論的には制裁的慰謝料は日本にはなじまないということで認められなかったものの、事件当時の社長を含め7人の幹部が有罪判決を受け逮捕されました。その後、三菱自動車が歴代の社長を告訴することにもなり、まさに一流ブランドが地に堕ちた事件でした。
 この「制裁的慰謝料」ですが、アメリカではよく適用されるもので、トヨタなどもその対象となりました。企業がクレーム隠しなどを行う背景には、「費用便益分析」をすることによって、たとえ犠牲者数人に法律で定められている慰謝料を払ったとしてもリコールを何十万台に対して行うよりもずっと格安だから隠しておこう、という企業判断があります。それに対し「そうは問屋がおろさないぜ」と制裁を加えるのです。そうしないと企業側はまた同じくその功利主義から同じような非倫理的な活動を続けてしまうからです。
 三菱自動車にこれが適用されたらきっと倒産したでしょうね。適用されなくても危なかったのですから。しかし、この企業の論理にも大きな盲点がありました。優秀な弁護士をつけて法的な制裁を免れたとしても、社員そして消費者はその動向をメディアを通してしっかり見ているので、その感情はブランドから大きく離れてしまうのです。そこで失った社員・顧客という人間の信頼は法律の裁き以上にこのブランドを苦しめたのだと思います。この苦しみは今でも続いているでしょう。
 資本の論理というのは多くの場合正論に聞こえますが、そこで人間をモノのように考えてしまうと、このくらい大きなリスクにつながってしまうかもしれない、という恐ろしい話(企業にとっても消費者にとっても)です。もう古い話しですが、決して忘れるべきではない大事件だと思います。

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