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2011-07

ザッポスの奇跡


 ある女性が病床の母親のために靴をいくつかオンラインで買うのですが、その母親は残念ながら他界してしまいます。もろもろの片づけに忙しく商品の返品をできずにいると、そのオンラインショップから靴の具合を尋ねるメールが届き、事情を話すと、本来は自分で集荷場までもっていかなければならないのですが、そのオペレーターはすぐに「宅配の集荷サービスを送ります」と判断しました。さらに次の日、その女性の自宅の玄関先にはお悔やみの花が届きました。
 こんなエピソードがブログからブログへと伝わり有名な話となったのですが、この靴のオンラインショップの正体が「ザッポス」です。
 ザッポスのオペレーターは皆、そのインパクトの大小はあれ、自分で顧客のためにできる最高のサービスをするようにエンパワーされているのですが、その仕組みを簡単に解説したのが本書です。確か、前にザッポスの別の本を取り上げましたが、結構参考になる部分が多いので、また使わせてもらいました。
 以下に本書で紹介されているザッポスの凄さを紹介します。

・ザッポスのコンタクトセンターには、マニュアルがない、細かい指導をするコールスクリプトもない。個々のお客様、お問い合わせについてどういった対応をするかは、コンタクトセンターの社員一人一人の判断に任されている。
・彼らの仕事は「顧客に幸せを届ける」ことである。そこに、給料を超えた働く意義がある。
・ザッポスでは顧客サービスを「コスト」として捉えていない。むしろ、5分10分というまとまった時間を顧客が神経を集中して聞いてくれるのだから、絶好のブランディングの機会だと考えている。
・採用の際、求めているのは第一に「天職」を求めている人、第二に「キャリア」を求めている人。単に給料をもらうだけの「ジョブ」を求めている人はお断りだ。
・タイムカードを押した瞬間から「個」としての視点をかなぐり捨て、会社の仮面をかぶるように教えられているオペレーターは「会社のポリシーだから」の一点張りで顧客の立場から物を考え判断きない。
・「個」の表現こそが最大の貢献である。
・4週間のトレーニングプログラムの最初の1週間で、合わないと思った社員には2000ドルの「採用辞退ボーナス」がオファーされる。これによってザッポスのカルチャーになじめない社員は残らなくなる。
・お金さえ払えばほぼ何でも買え、サービスも平準化された今となっては、消費者の「飢え」が向かっているのは、ライフスタイルや価値観を共有できる人たちに囲まれているという帰属意識、尊重されているという満足感、創造力を発揮できる喜び、達成感、より大きな目標に向かっているという使命感である。これらの高度な欲求の実現にエネルギーを注いだ時、ピークパフォーマンスが生まれ、より大きな価値が生まれる。
・これからは「個」を活かさなくては競争に勝てない。ファーストフードも「速さ」「安さ」「そこそこのおいしさ」だけでは差別化できない時代になっている。そこには「感情体験」が必要であり、それを作るのは現場でお客様と触れ合う「社員」なのである。
・ザッポスでは企業の「価値観」を共有しながら「個」としての個人を大切にしている。企業と個人の「価値観」が一致しているからこそ、社員の一人ひとりが自分の個性や感性を自由に表現してもブランドが壊れることはない。むしろ「個」を通して、会社のブランドがより豊かに、より多面的に表現される仕組みが整うのである。社員自身が自分の働く会社のファンであり、そのメッセージを顧客に伝え続けることに勝るブランディング・キャンペーンはない。

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