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グローバルマネジャー読本


 この「グローバルマネジャー読本」ですが、1997年に著者の船川さんが米国で出版し、98年にその翻訳が日本で出版され、2003年に日経から文庫として再出版された、という、結構年季の入った本です。
思い返せば、この本には色々影響を受けました。初めは著者がサンダーバードというビジネススクールの先輩だということと、異文化コミュニケーションというテーマに興味を持って手にしたのですが、よく読んでみるとこれはまさに自分が外資系企業の中で体験していること、苦労していることを体系的に説明している良書だということに気付きました。そしてこの本によって自分がどうして外国人と上手く仕事が進められたのか、あるいは上手く行かなかったときの要因は何か、などに対する答えも得ることができました。「アメリカ中心主義のグローバル化に対するアンチテーゼ」としても、とても刺激的な本です。
この度、もう一度読み返すことにしたのは、船川さんのGTL(グローバル・ビジネス・リーダーズ)研修に参加して船川さんのグローバル人材育成に対する深い洞察に改めて感銘を受けた、ということ、それから前から感じていた、船川さんの言う「文化」や「国民特性」というものが「強みマネジメント」と大きく関わっているのではないかと点についてもう一度考えてみたいと思ったからです。
読み返してみて思ったのは、古い本ながら少しも色あせていないということ、そして、やはり自分の「強み」を理解し他者の強みにも興味を持ち、理解し、お互いに活かす、ということはグローバル人材には欠かせないスキルではないか、という点です。グローバル・マインドを持つ上で、誰もが独自の強みを持っている、という認識はやはり必要不可欠なのではないでしょうか。その証拠に如何に挙げた本書のキラー・フレーズの中で、「文化」を「強み」、「国民特性」を「資質」あるいは「才能」と言い換えて、さらに文脈を国ごとの違いではなく個々人違いに置き換えてみると、結構そのまま「強みマネジメント」の理論になってくるのです。
これはつまり人の幸福や充実感と個人や組織のパフォーマンスとの間には普遍性があるということでしょう。だからアメリカで開発されたストレングス・ファインダーが日本でブレークしたり、ポジティブ心理学のアセスメント・ツールVIA-ISが東洋の思想なども取り入れたりしているわけです。
この分野、もっと深く研究してみようと思います。

「グローバルマネジャー読本」のキラー・フレーズ
 お互いに対する期待、思い込み、そして味方の乖離がミスコミュニケーションを生んでしまう。(自分の強みやパターンの枠から飛びさせない人も多い)
 相手の期待、思い込み、そして視点に対する冷徹な洞察は自分自身にも向けてみる必要がある。
 異なる思考の枠組みに対する気付きと理解が必要。
 アメリカ人は「対立はあって当然、コンフリクトと向かい合って話し合おう」というスタンスが多い(これは日本人の中でも「指令性」の高い人には言えることです)
 文化の本質とは
       われわれ人間のメンタル・プログラミング
       意識のソフトウェア
       マインドセット(意識、思考の枠組み)
 ステレオタイプと国民特性は違う。国民特性とは、統計的なリサーチに基づいた社会規範として認められるもの。
 ある一つの社会において全ての国民特性のバリエーションが存在する。つまりステレオタイプではない。
 国レベルの文化差は主に価値観の差で、仕事のやり方にその差異が表れる。(だから徳性や資質で表現できる)
 文化の影響に焦点を当てるのなら、顕在化していない思い込み、あるいは当たり前だと思っている無意識の部分にも注意を払わなくてはならない。
 世界で最も話されている言語
       ボディランゲージ
       ブロークンイングリッシュ
       インターネットイングリッシュ
       グローバル企業が目指すのは、ジオセントリック(地球中心主義)な組織。これはグローバルとローカルが協調されたもの。
 トランスカルチュラル・マネジメント:5つのコア・コンピタンス
       ジオセントリック・マインドセット
       戦略的フォーカス、6つのCモデル
       異文化コミュニケーション
       文化的相違を考慮したマネジメントプロセス
       シナジー(相乗効果)学習のシステム
 グローバルマネジャーは極めてオープンマインドである。国によって違うやり方があることを尊重し、イマジネーションを働かせて、なぜそのようなやり方をするのかを理解する。それと同時に、鋭い感覚をもって、文化の限界に挑む。彼らは国籍にとらわれず、能力やスキルにフォーカスする。
 自民族中心主義の下に潜むのは、われわれがおそらく本能的に持っている自己正当化欲、エゴセントリックという機能である。
 会社中心主義は、過労死、企業犯罪、コミュニティー活動の責任不在、家庭における父親の責任の問題、地球の環境問題にまで影響を与えている。
 ジオセントリック・マインドセットは真の意味でのグローバルな市民であることを求め、地球という視座を持つ。
 6つのC:従来の4つのCにのみ注意を払い、コミュニケーションや文化が盲点となる。
       Company
       Customer
       Competitor
       Community
       Communication
       Culture
 重要なのは、異なる文化、組織文化を持つマネジャーと従業員が如何にコミュニケーションを取るか
 「かなたの世界では虚偽であることが、ピレネー山脈のこなたでは真理である(パスカルのパンセ)
 シナジーを学習するシステムとは、文化の違いを超えて相互学習を促し、お互いの学習プロセスについて確認をし、フィードバックし合えるような、組織の中に組み込まれた機能・プロセスである。
 シナジーの本質は相違点、つまり知的、感情的、心理的な違いを重んじること。
文化的な多様性、相違点それ自体が戦略的なコンピテンシーのテコとなりうる。
 7つの思考の実践課題
       良い悪いの判断をせず、まずは観察
       あいまいな状況にいらいらせずに寛容になる
       スタイルシフトをおこなう
       自分の見方を相手の視点に移しかえてみる
       自分自身の質問自体を組みかえる(「どうして気がきかないんだろう」⇒「あの行動の背後には、どういうことがあると考えられるだろう」)
       お互いに自立しながら、なおかつ依存関係を深めた上で働く
       メンタルタフネスと精神的成長を保つ
 7つの実践課題は、新しい発見を楽しめる者にとっては困難かつ至福の道である。
 2つの価値観のバランスゾーンを越えてしまうと、それぞれの価値観や見方、視点が非常にネガティブなものと判断されてしまう。
 コンテクスト=目に見えないもの、触れないもの、定性的、コンテント=目に見えるもの、触れるもの、定量的
 ソフトスキルとハードスキルを完全に一体化することにより、コンテクストとコンテントの相乗効果を狙える
 従来の日本のハイ・コンテクストね経営スタイルはホワイトカラーの生産性、株主及び従業員に対する低いリターンというデメリットを生んだ。
 対立、葛藤の中では、アメリカ人はよりアメリカ人的に、フランス人はよりフランス人的になる。
 異質なものから相乗効果を生み出すハイブリット組織を作ることは、決して生易しいことではない。最初からある程度の問題は当たり前、「問題を抱えているのは自分たちだけではない」と気付くこと自体が自分たちの視点を大きく変える力となる。
 外資系企業に必要な3C
       Change
       Communication
       Context
 われわれは文化を直接変えることはできない。しかしながら、文化自体が自ら変容を遂げるそのプロセスを調整したり、スピードを速めたり、方向を与えたりすることはできる。
 日本のマネジャーは、上からの方向を見極め(時にやりすごし)、そして部下を動かすというハイ・コンテクストなコミュニケーションスタイルの担い手である。彼らは、組織のコンテクストを読みとり、それを明確なコンテントに落とし込んでいる。
 ブリッジ・パーソン育成に必要な3つ
       コミットメント
       支援体制
       エンパワーメント
       人を見抜く洞察力
 われわれが無意識に持っている前提、思い込みの中には、さまざまな偏見やステレオタイプ、先入観、そして個々の文化に対する知識そのものも含まれる。

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