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ポジティブ・サイコロジー


VIA-ISの開発者であり、ポジティブ心理学のリーダーの一人であるピーターソン博士のこの著作は、これまでに翻訳されたポジティブ心理学関係の本の中でも特にお勧めしたい書籍です。先月出版された本ですが、今までのどの本よりも詳細にわたって、しかも幅広くポジティブ心理学をカバーしています。
しかし、タイトルをポジティブ心理学としなかったあたり、また本文の到るところに散見する、「いわゆる自己啓発としての『ポジティブ心理学』と一緒にしないでくれ」という強い想いが感じられます。これは翻訳をした宇野さんも同じ気持ちなのでしょう。私は以前宇野さんのプレゼンを観させて頂きましたが、そのまやかしではなく学術的に正しいことをやろう、という真摯な態度が印象的でした。
コップに半分水が入っているのを見たら「もう半分しかない」ではなく「まだ半分もある」と考えよう、などと言って喜んでいる人達は、ピーターソン博士や宇野さんにとっては我慢ならない人達なのでしょうね。
実は先月、あるワークショップでこの話をしたところ「スライドでコップの写真が出てきて、またお決まりの『ポジティブに考えよう!』みたいなくだりになるのかと思ってうんざりし始めたところで、『ポジティブに考えるだけでは意味はない。行動をしなければ』という流れになってホッしました。」と言ってくれたセンスのよい参加者の方がいらっしゃいましたが、そのコメントにこちらがホッとしました。未だに、「ポジティブになろうよ」という言葉に癒しを感じたい人がいるようなのですが、私はその癒しは長続きはしないと思います。ですから、そのようなコメントはしないようにしています。
さて、本書、簡単にまとめるのはもったいない、というか、余りに色々な情報が入っているので、まとめることは困難です。そこで、前半の中で私が赤ペンを入れた部分を紹介します。ここで興味を持った方は是非本書全体を読んでください。

ポジティブ心理学とは何か?
・今までの心理学は、人間とは欠陥のある脆弱な存在であるという、社会科学において広くはびこっている前提にもとづいてきた。
・通俗心理学の担い手や自己啓発系の語り手、はてはエセ教祖たちにくらべても、従来の心理学者たちはよりよい生き方についてほとんど語ってこなかった。
・人間の善良さや優秀さは、病気や障害や苦悩と同じくらい本物だ
・ポジティブ心理学の歴史は、少なくとも西洋はギリシャのアテナイの哲学者から東洋は孔子や老子にまでに及ぶ。
・ポジティブ心理学は生きる意味と目的を探求する、今までありえなかった心理学である。
・笑顔は人生をもっとも生きがいのあるものにするあらゆる要因の確実な指標にはならない。充実した活動に深く関与している時、自分が笑顔かどうかも分からないものだ。
・ポジティブ心理学者はスマイリー・フェイスよりも、ポジティブな特性や気質、親切心や好奇心、チームワーク、価値観、興味、才能、能力などについて研究を行っている。
・文化はよい人生の条件について何か熟知しているのだろうが、「必要なものはルックスとたくさんのお金だけ」という信念はパリス・ヒルトンくらいにしか当てはまらない。
・人生でネガティブな出来事に出合い、それに順応する期間を経た後、人生の満足度がしっかりしたものとなることが多い。
・ポジティブな人が否定する唯一のものは絶望。
・元気一杯の人が押し付けてくる元気さは有難迷惑。彼らがバカかどうかは分からないが、とにかく鈍感なのだ。しかし、全ての幸せな人がみなそれほど鈍感なわけではない。
・単純な楽観思考はリスクを過小評価してしまう嫌いがある。
・ポジティブ心理学はお金持ちになるためのキャンペーンでもなく、自己啓発系の語り手による呪文でもない。
・口先だけのポジティブ思考を広めることによって、人間が不幸になるのは単に選択と意思(そしてある本を買わないこと)の問題だと思わせてしまうことは危険である。
・私(ピーターソン)は気難しいと言われ、よく不平不満を言い(ヘビースモーカーだと聞いています:小屋)、微笑むより頻繁に人をジロっと見る、陰気な人間なのだが、そんな私でもポジティブ心理学について語る資格はあると思う。なぜならポジティブ心理学はポジティブ感情以上のものを扱うからである。
 ・ポジティブ心理学の柱
 ・ポジティブな主観的経験
 ・ポジティブな個人的経験
 ・ポジティブな制度
ポジティブ心理学について学ぶとは
・子供を育てるということは、子供の強みを見つけ、それを伸ばしてあげることだ。
・既存の心理学は、注目すべき人間の強みにほとんど関心を払ってこなかった。
・その人の弱点や欠点にフォーカスするのは、人生を生きがいのあるものにする、明らかによい半分を無視することになる。
・シニカルに、あるいは心半分ここにあらずといった状態で演習に臨んでも効果はない。
・学問の世界にありがちなのは、何が間違っているかを指摘し、熱意は表に見せず、自分がバカにされるようなことは一切やらない。
・ゆるしは美徳の女王、ゆるしとはまず謝ることから始めるのが一番よい。
・自分自身のための楽しみを追い求める姿勢よりも、他人の幸せを考えることができる姿勢を持っている方が、長い目で見て高い満足度が得られる。
・慈善のための行為は楽しみが長続きする。
・大切なのは、その人達が何を与えてくれたかではなく、どのように時間を与えてくれたかである。
・いいチームメイトの条件
 ・姿を見せる
 ・嫉妬したりしない
 ・分担以上に働く
 ・率先して奉仕する
 ・メンバーのよい側面を指摘する
 ・リーダーを助ける
気持ちよさとポジティブな経験
・ポジティブ心理学は快楽主義やちまたの幸福学よりもっと広義な分野である。
・快感の心理学的反対語は苦痛だけではなく、不安、罪悪感、恥辱感、退屈さなどの快感そのものと同じくらい豊かな感情である。
・カーネマンのピーク・エンド理論:過去の快感の強さについて考えるとき、人間の記憶は直接の経験における快感の強烈さに加えて、その経験がどのように完結したかによって左右される。どのくらい長く続いたか、ということは本質的に見落とされる。
・自分の快感についてクライマックスとよいフィナーレを構築すべき。
・人はある感情を持った時に、その反応がどれだけ長く続くかについて常に過剰評価するものである。(結婚についても言える)
・宝くじのような幸運を手に入れても、やがてその幸運に順応し、快感を感じなくなる。
・Emotionとmotionは同じ語源を持ち、感情は私たちを何かの行動に駆り立てる、ということが言える。例えば、恐怖は私たちを逃げたいと思うように仕向け、怒りは攻撃に、嫌悪はおう吐するという行動に駆り立てる。対照的に、ポジティブな感情は、そのような特有の行動傾向とは結びついていない。それはもっと漠然とした、広がりを持った方向性を示すようだ。
・ネガティブ感情は危険について警告し、ポジティブ感情は安全信号を出す。その結果、選択肢が広がり、未来に向けてその恩恵が得られる。
・ストレス・コーピング:ストレスの多い「本当の」状況においてポジティブ感情を経験することのメリットを実証。
・ミールによると、ポジティブな気持ちを経験する能力を快楽的能力、さらにポジティブ情動と呼ばれ、それは外交的パーソナリティ特性に結びついているとされる。
・ポジティブ情動の度合いが高い人は社会的に活動的であり、低い人よりも結婚している(あるいは幸せな結婚をしている)確率が高い。
・ワトソン:習慣的な気分を改善したいのであれば、思考よりも行動に注意するべきである。
・ジャンク・フロー:特に能力が試されることもなく、活力や満足感を与えたりすることはもちろんない。
・「畜生、オレはテレビを観るのがどうにも得意になってきている。俺のこの技を完成させるのに明日が待ちきれない」とは誰も考えない。
・喜びは一つ一つ味わう:将来よい出来ごとがおきるであろうと予測することで味わい、実際にその出来事が起きた時に味わい、後でその出来事を思い出して味わう。
幸せ
・60年前に書かれた作文にあったポジティブ感情は生存率に著しく関係していたのに、ネガティブかんじょうの方は無関係だった。
・快楽主義の対極の原点としてアリストテレスのエウダイモニアの概念(内なる自己{ダイモン}に忠実であること)にまで遡ることができる。この見解によれば、真の幸せとは、自分の美徳を見つけ、それを育み、その美徳にしたがって生きることで生み出される。
・「あなたの可能性を最大限に引き出せ」「世の中をすこしでもよくしよう」
・快楽主義が人生の満足度と関係がないとは言っていない。快楽主義はエウダイモニアに比べてあまり役に立たないが、必ずしもそのいずれかを選ばなくてはならないということではない。人生の満足度に関しては、これら2つの方向性が相乗作用となり得る。
・エンゲージメント(フローを生み出す活動に従事すること)
・必ずしもフローを生み出すすべての活動が意義深いをけれはなく、全ての意義深い活動がフローを生み出すわけでもない。
・主観的ウェル・ビーイングとは、通常、ポジティブ感情の比較的高いレベルのもの、ネガティブ感情の比較的低いレベルのもの、そして自分の人生がよりよい人生であるという全体的な判断であると定義されている。
・幸せとは、その人自身と、その人のものの見方による賜物である可能性がある。
・幸せとはよい人生を送るための単なる指標ではなくて、その原因の一つであるかもしれない。
 ・幸せに到る道の可能性
 ・快楽の追求
 ・エンゲージメント
 ・意味の追求
 ・勝利の追求

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